湘南寺田屋 山の記録

時々出かける山の記録です。ハイキング、バリエーションルート、山スキー、早駆け、ボリダリング等。鳥見や海外ハイキングも少々。

八ヶ岳阿弥陀南稜(途中撤退)

先月から計画していた阿弥陀岳南稜登行・中央稜下降計画。最近ご一緒しているKさんとM子さんとご一緒だが、二人ともクライマーであるし体力もあるので、快適に行けるとの算段。南稜は15年ほど前にソロで登っており(

https://shonanclimber.hatenablog.com/entry/2008/10/12/214846)、条件がよければロープもいらないように思いつつ、岩装備も持参。秋山なのでツェルトや防寒衣類も持参するが、基本は早歩きセット(自分はトレランシューズ)。ところが今年初の強い寒波を伴う冬型気圧配置となり、低温と氷結のため核心部P3峰の手前で撤退とした。

 

6日(金)早朝5時に舟山十字路に到着。土日は早くに満車になると聞いたが、さすがに平日なのでスペースはたくさん。登山者よりもキノコ取りの人が多いようだ。気温は5度くらいまで下がっていて車を降りると寒さに凍えるよう。
5時半、きのこ取りの人とちょっと話してから出発。南稜への分岐は明瞭で地図にはないが踏み跡はしっかりある。というよりたくさんあって紛らわしい。キノコの注意看板や境界杭がたくさんあって、いろいろと競争があるらしい。

 

稜線に出てからは快調に高度を稼ぎ2本で立場岳へ。このあたりは気温は低いとはいえ苔の森で少し紅葉も始まっている秋の雰囲気。

 

高度が上がるにつれ、枝には霧氷がついていたり落ち葉が凍っていたりして、温度の低さを感じる。足元は霜柱。後から知ったのだが、この冬一番の寒波で麓の原村は最低気温3度ちょっとだったそう。

 

立場岳は樹林の中で、思わず通り過ぎそうであった。もう少し進むと樹林帯から出て阿弥陀南稜の全体が見渡せる。冬型吹き出しの風が強く冷たい。上部のハイマツ帯には霧氷がびっしりついているようで山肌が白くみえ、秋山というよりは初冬の景色である。前々日の降雨の影響もあるようでもうもうとガスが吹き上がっている。霧氷が発達するのもわかる気がする。ちょっと装備と山の状態のミスマッチを直感。

阿弥陀岳南稜の勇姿。ちょっと白いが。

 

この先青ナギの崩落斜面が見え始める。8月にキレットを歩いた際にも良く見えていた青い大崩落帯。積雪はないが、凍結気味になってきたので早めにチェーンスパイクを装着する。とはいえ、地形は穏やかであり問題はない。

 

右手には赤岳からキレット方面の稜線がよく見え、快晴の空の下天狗峰の鋭鋒もくっきり。さらに権現から編笠山方面の八ヶ岳最南部もみわたせ、遠くには富士山も。南アの甲斐駒・仙丈、奥には北岳も見えてよい景色。早めにことあたりでハーネスをつけヘルメットもかぶっておくことにする。

南ア方面もよく見える

 

ハイマツの霧氷を払いながら徐々に高度を上げ、P4を越えて徐々に大きなP3峰が迫ってくる。日が高くなり凍結がなくなることを期待するが、あまり気温があがらない。稜線沿いは初級の岩登りとなるが、左から巻いて「樋」と呼ばれるクーロワール(凹状)に入って稜線に上がるのがノーマルルート。下り気味の巻くところまで近づくがこの先は日陰で凍結状況であり、補助ロープを出して登れそうではあるが気温が低い中で風の強い稜線に出ることも考え、今回はここまでで撤退とした(突込み型の自分に対してKさんの冷静な助言はありがたかった)。

今回はここまで(この先を右に回り込んで「樋」となる)

 

少し戻って稜線の日向でランチとし、赤岳、キレット、富士山、南アの山々の眺望を見つつ、おとなしく下山した。

 

自分は明日鷹の渡りを見ることにしており、湘南に戻るお二人と駐車場で別れて蓼科の宿に向かう。裾から見るとのんびり快晴の山であり、変な気がする。

 

原村のマーケットで紅玉や新種シナノドルチェを買い、ラ・フランスも購入。宿のテレビではしきりに低温を報じていた。遭難が起こりやすそうな気象だと思っていたが、後日那須での披露凍死遭難を知った。やはりツェルトだけは全員が個人装備として持つのが大事とあらためて思う。